いのちのいずみ Ⅱ

南宮崎カトリック教会の主日のミサの説教を掲載します

A年主の降誕(夜半) (2016.12.24.)

A年主の降誕(夜半) ルカによる福音書2:1~14

つねに上へ上へと向かおうとする人間の上昇志向をすべて引っくり返すというのが、クリスマスの本当の意味です。神様御自身が、ひとりの人間となって地上に降りてきてくださったということだからです。

 クリスマスおめでとうございます。世界中の人たちに、同じ言葉を伝えたいと思います。世界中のキリスト教の教会で、イエス様の誕生を祝う同じことばが交わされていることでしょう。

 クリスマスの意味について、簡単にお話しします。
 人間には、上へ上へと向かって生きようという上昇志向があります。そのもっとも古いケースは「創世記」にみられ、神と同じようになりたいと願う、人間の欲望がえがかれています。天の高いところに神様が存在すると思っている人は、できるだけ高いところへのぼり、そこに近づきたいと思います。特に権力者たちは、他の人たちよりも少しでも上に立って人々を支配したいという欲望が大きいのです。さらに、権力を握ることによって、自分だけが上に行きたいという考え、自分だけが神様の近くへ行き、ついには自分自身が神となりたいという考えを持つ人もいます。「宗教家」と呼ばれるような人にも、同じような傾向があるかもしれません。祈りや修行を通して自分を高め、できるだけ神様に近づこうとするからです。

 このように、つねに上へ上へと向かおうとする人間の上昇志向をすべて引っくり返すというのが、クリスマスの本当の意味です。神様御自身が、ひとりの人間となって地上に降りてきてくださったということだからです。神様御自身が天から降りてきて、私たち人間と一緒に生きるようになったというメッセージが、私たちに伝えられているのです。それはつまり、神様と人間との関係は、イエス・キリストの誕生によって大きく変わったとうことです。権力者は、上に立って他の人たちを支配することによって自分が輝かしい者になると思っています。しかし実際には、権力を握ることによってエゴイズムが増大し、その人の人間らしさは失われていくような気がします。同様に、「宗教家」が神様のために特別なことをしたり、他の人々を遠ざけて自分だけが神様に近づこうとしたりすれば、神様も遠ざけることになってしまうのです。

 クリスマスは、私たちに何を教えてくれているのでしょうか。私たちは、神様のところへ上がっていこうという上昇志向を持つ必要はないということです。神様御自身が降りてきて、ひとりの人間となってくださったからです。しかも、貧しくて小さな赤ちゃんの姿で来てくださったのです。ですから私たちは、強いて神様を探したり近づこうとしたりするよりも、自分の生活の中で、また人生の中で神様を受け入れることができるように、心を開くということが一番大切なことになります。イエス様がこの世に生まれたことによって、神様は苦しんでいる人類に近づき、私たちのところに来て、人間の間に住むようになりました。イエス様は私たちに、神様の子どもとしての姿を明らかにしてくださいました。それは、人々を支え、人々に希望を示し、人々のために尽くすという、神様が望む人間らしさです。

 クリスマスの意味は、神様は私たち人間の間に生きているということです。私たち人間は、心を開き、愛をもって神様を受け入れ、神様と同じ愛をもって、他の人に近づいて奉仕するように招かれています。これが、クリスマスのメッセージです。
 神様は、私たちひとりひとりの内に、神様が望んでいらっしゃるように生きようとする人間らしさをそなえてくださいました。これを豊かに活かすことによって、私たちは神とともに、神の子どもとして、愛を生きることができるのです。